書評を書く前にひとつ、僕の秘密を明かしたいと思います。
実は僕は8年前に夜の世界で働いていたことがある。
仕事を終えたその足でいきつけのバーに向かった。
ちょうど1杯飲み終えた時、この辺では見かけない美人な女性が近づいてきた。
はっきり言って超タイプだった。
「もう1杯いかが?ごちそうするわ」
突然の誘いにびっくりしたけど当然僕の答えはYes。
そのまま女性はバーコーナーに行き2杯のカクテルを持ってきた。
そのうちの1杯を僕に渡してくれたのでお礼を言い、乾杯しグラスに口をつけた・・・。
僕の記憶はここまで。
次に目が覚めたとき、僕はホテルの風呂場で氷水に浸かっていた。
頭はぼーっとしているし、この状況の意味が分からない。
混乱して辺りを見回すと、壁にこんなメモが貼り付けられていた。
「動くな。救急車を呼べ。」
壁の真下に携帯電話が置かれている。
かじかんだ指でとにかく119番をダイヤルした。
不思議なことに電話の相手は僕の状況を熟知しているようだった。
「いいですか。落ち着いて聞いてください。」
唾を飲み、呼吸を整える。
「ゆっくりと背中に手を回してみてください。腰のあたりからチューブがでていませんか?」
言われるがままゆっくりと手を回すと、確かに腰からチューブが出ている。
電話の相手は言った。
「落ち着いて聞いてくださいね。あなたは肝臓を1つ取られたのです。最近この町で暗躍する肝臓狩り組織の犯行ですね。今救急車がそちらに向かっていますので動かずにそのままお待ち下さい。」
ちょうど8年前の話。
・・・なんてね、全部うそ。
これは本書の書き出しに書いてある「肝臓狩り」の話を僕なりに少しアレンジしたもの。
この話、記憶に焼きついたのでは?
たぶん明日になっても1週間経っても、このブログを見ることなく同じ話ができると思う。
では次の話はどうか。
これはある非営利団体が配布した資料からの引用。
「包括的なコミュニティー構築は、必然的に既存の慣行を活かしてモデル化できる投資収益率の原理に役立つ。CCIへの資金の流れを制約している原因は、資金提供者が助成を行うにあたり、カウンタビリティを確保するためにしばしばターゲット設定やカテゴリー化の条件に頼らざるを得ない点である。」
たったこれだけの短い文章だけど、10分後に何も見ずに同じ話をすることができるだろうか。
僕の場合、最初の「包括的」という単語を見た瞬間に読む気すら失う。
そして5回読んでも全くその意味を理解できない。
本書を読めば、肝臓狩りの話と非営利団体の話では具体的に何が違うのかがよく分かる。
ビジネス関連の文章を書くとき、大抵の場合非営利団体寄りの文章になってしまうけど、
人に興味を持ってもらい、記憶に焼きつき、周りに広めたくなるようなアイデアはそうじゃない。
そのキーは、
単純明快で 意外性があり 具体的で 信頼性があって 感情に訴える 物語
そして、
知の呪縛
ビジネスマン必読。
今後の仕事に生活に、とても参考になった。
ブログランキング応援していただけると嬉しいです↓